日本語訛り

私の経験上、自分が訛っていることに人は鈍感だと思う。

イタリア・スペイン人のドイツ語。

アメリカ人のドイツ語。

フランス人のドイツ語。

中国人のドイツ語。

それから日本人のドイツ語。

これらの国の人たちの発音は、特徴的でほんの少し聞いただけでそれとわかる。

各国から集まるミュンヘンの語学学校で、私はパーティの余興でこれらの国の人たちの発音のまねを披露して、拍手と笑いを貰った。

が、笑いは自分とは違う国の人の発音。

「私はそんなふうに言ってないけどね」って言ってた。

しかし、外国語初学者、つまり発音に自信のない人の方は敏感で「なんか違う、先生みたいにちゃんと発音できない…涙」と、何度も発音練習してくださいます。

「綺麗に発音できてます、ちゃんと通じますよ(^-^)」と言っても「そうですか?(>_<)」とお世辞に聞こえてしまうようだ。

確かに私は、良いところは褒めまくる。

「Sehr gut!」「Super!」「Perfect! 」「Klasse! 」なんてもう口癖。

賞賛は惜しみなく、がモットー。

でもね、絶対に嘘はつきません。

ネイティブに通じないかもと少しでも思うときは、口の動き、ストレスをかける場所、舌の位置など細かくアドバイスします。

発音はコツがある。そのコツを掴めば誰でもネイティブに通用する発音を身につけることができます。

そう、あくまでもネイティブに通じる発音。

なので私の生徒さんたちは、もれなく皆さん発音が上手。

これ自慢。ウチの子たち最高。

で「訛り」ですが、私はもう20年近く前になりますが、洋書を扱っている本屋さんのドイツ語コーナーで1人のドイツ人男性に声をかけられ、少しの間ドイツ語で会話しました。

そのときに、「キミはバイエルンに住んでた?やっぱりミュンヘンでドイツ語を勉強したの?」と言われ、驚いたことがあります。

私    「何で分かったの? 私訛ってた?」

独男子  「うん、っていうかミュンヘンってすぐに分かった」

確かに私はミュンヘンの語学学校に入る前に、Au-pair-Mädchen としてバイエルン州に住むドイツ家族にお世話になっていた為、バイエルン語のシャワーを目一杯浴びていたけど。

ミュンヘンの語学学校(ゲーテ)ではテレビアナウンサー並みの標準語を勉強してたのに。

ちゃんと使い分けてると思ったのに。

気づかなかった。

そういえば、ドイツに住んでたときも日本人の友人に、

「Jukiちゃん名古屋弁だねー」

と言われたことが何度もあった。

これまた気づかなかった。

「やっとかめー」とか「エビふりゃい」とか「おみゃ〜さん」とか言ったことないのにな。

つまり、ある程度話せて自信があると、自分が訛っていることに鈍感なのだ。

で、ここまでダラダラ書いておいて、何が言いたいかというと。

「訛ってて何が悪い!」

ということ。

日本語もドイツ語も、テキストで勉強するような綺麗な標準語を話すのはのはもはやテレビのアナウンサーくらいだってこと。

母国語ですらその言い回しやアクセント、表現から、その人の里が分かり、国が分かる。

母音止まりの日本語を話す日本人が、子音止まりの多いドイツ語を話す。

文に比較的抑揚の無い日本語を話す日本人が、文全体に特徴的なメロディーラインを持つドイツ語話す。

こんな極端に違う言語を話すとき、母国語を引きずらないで話せる人間がどれだけいるか。バイリンガルならいざ知らず。

ある論文で、「外国語を話すとき、必ずしもネイティブの発音を身につける必要はない。それは返って自分のアイデンティティーを揺るがすことになる。何故ならば言語と文化は切っても切れないものであるからだ」と書いてあったのが強く印象に残っている。

日本語訛りだって良いじゃない。

訛りは言語によっては何十種類もある。

日本語訛りはその一つでしか過ぎないのだ。

あくまでも日本人としてドイツ語を学習するなら、日本語訛りのドイツ語で良いじゃない。

日本人と分からないようなドイツ語を話したい!という人はまた別の話し。

ちなみに私は周りの外国人の友人から、

「ちゃんと日本人ってわかる」

「ドイツ人みたい」

「キミの英語はドイツ人そのものだ」

などと言われ、日本人としてのアイデンティティーが崩壊してます。

息子に「ママはドイツ人だから」と言われたときは、「冗談だよね?」と確認しました。

最後に。

日本人の話すドイツ語はとても綺麗だと思います。

特出すべきは、日本人はオオム返しがとても上手ということ。

耳さえ柔軟に馴らせば、きっとどんな言語にも対応できると思います。

アドバイスとしては、「子音」を強く発音してみてください。

子音を強く、鋭く、大袈裟に。

子音は声帯が震えません。子音止まりの単語を発音するときは、

喉に手を当てて母音a,i,u,e,oを発声しないように気をつけて。

コツとしては、一度伸ばして発音してみてください。

例えば

「ich」は「イch———」この伸ばし棒のときは、声帯は震えておらず、かつ息の吐く音しか聞こえないはずです。

れっつとらい!

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